2013年02月04日

「写真家 石川真生―沖縄を撮る」 

2月24日(日)まで 横浜市民ギャラリーあざみ野 
http://artazamino.jp/organized-events/special-exhibitions/photo-annual-2012/

 アートフォーラムあざみ野の今回の自主企画は新作を含めた石川真生の写真展である。
沖縄出身の石川真生は沖縄の本土復帰(1972年)という歴史的出来事を起点に、写真というメディアの表現者として活動を続けている。今展は作家自身が原点と位置付けるデビュー作「熱き日々in オキナワ」の再発表を含め、初公開となる沖縄芝居の名優たちのポートレイト「沖縄芝居」、そして若者世代の森花(Morika)とのコラボで彼女の夢を題材にした「森花―夢の世界」シリーズの三部構成になっている。
 石川真生は自分が撮っている沖縄の写真は、どんな日本の大御所写真家による沖縄の写真よりもいいと豪語する。確かにその通りだ。彼女の視線は単に沖縄をモチーフとする外部の眼差しではないし、ましてや「癒しの島」という幻想を助長するようなものではない。当たり前のことだが、彼女はウチナンチューの眼差しで、基地問題をなど、沖縄が抱える様々な歪みや矛盾を視覚化している。また彼女の作品は被写体との信頼、親近感があって初めて撮ること(shoot)が可能になる類の写真であって、沖縄人であり、女性である、という二重に周縁化された視点からの表現を実践しているのである。
 現在の日本の文化状況においては、多くの芸術家やアート関係者が支配文化に追従し、取り込まれる以外の術を見だせなくなりつつある。我々にとって沖縄を考えることは他人事ではないし、沖縄が異界であり続けることは一筋の希望なのである。

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posted by ミツオ at 17:58| Comment(0) | アート

2013年01月09日

桑山忠明展 HAYAMA

1月14日(月・祝)まで 
神奈川県立近代美術館 葉山 http://www.moma.pref.kanagawa.jp

 今回は日本のアーティストとしていち早く、欧米の60年代、70年代の幾何学抽象やミニマリズとの関連において高く評価された、ニューヨーク在住のアーティスト桑山忠明の展覧会を神奈川近代美術館葉山で見てきた。
 桑山忠明といえばメタリック絵具を使ったモノクロームの平面作品で有名だが、もともと東京芸大の日本画科出身ということで、整然とした配列や微妙な色づかいなど、日本的な雅の世界を思わせる作品の印象があった。確かにそのような日本的感性が、欧米の抽象絵画の作家たちの中にあって、彼の独自性を際立たせる働きをしたかも知れない。しかし今回の展覧会でも明らかになったのは、桑山の興味はもはや絵画作品を作ることではなく、他の幾何学的抽象やミニマリズムの作家たちの作品主義(タブロー)の枠を超えて、空間、自らの作品がその一部になる、空間そのものの創造に向けられているようだ。
 空間にこだわるという意味では、葉山においては一つ一つのギャラリーごとに完結したインスタレーションになっており、通常の観覧順路も変更して、それぞれのギャラリーには基本一箇所からしか出入りできないように間仕切られている。作品には陽極処理したアルミニュウムやチタニウムといった無機的な工業素材を用いていて、複数のパネルや立体物を規則的に配列し、整然と落ち着いた空間を生み出している。金属素材そのものの色は、光の反射や角度、そして距離により色彩が微妙に変化し、その様は映画「ロボコップ」の黄金色(玉虫色?) のボディにも似ている。近づいたり、離れたり、横に移動したりすることで微妙な色の変化を楽しんだ。光の加減で色が変化する作品に包み込まれる空間インスタレーションは静謐さや移ろいといった感情をその場に立つ者に抱かせるだろう。
 美術館の白壁のいわゆるニュートラルとされる空間について、再び意識させられる展覧会だった。
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posted by ミツオ at 22:57| Comment(0) | アート

2013年01月06日

会田誠展 「天才でごめんなさい」


3月31日(日)まで 森美術館(六本木ヒルズ森タワー53階)http://www.moriart.museum

 2013年初めの展覧会チェックは六本木、森美術館で開催中の会田誠展。「天才でごめんなさい」という人を食ったような題名。さてその天才ぶりは?
まず言えることが会田誠は兎に角多彩だ。様々な素材、スタイル、概念操作を駆使して作品を作り上げる。ビジュアル作品の他、パフォーマンス作品では外国人画家(フランス、ドイツ、アメリカ)に扮したり、アルカイダのビンラディンに扮したりしている。そう基本何でもありの世界だ。つまり会田誠は世の中の事象のすべてを作品のネタにしてしまう天才なのである。本人も冗談半分(批評的な意味を込めて)で天才と言っているのだろうが、何でも上手くこなしてしまう彼は優等生か?言語表現に対する劣等感のようなものを感じるのだが、その辺は微妙に複雑なこの作家の精神性を反映しているのかも知れない。そしてサービス精神が旺盛である。これでもかってくらい観客をエンターテインしてくれる。そこまでしてくれなくてもいいよと言いたくなるが、その過剰なエンターテイメント性が今日的であると言えるだろう。
一つ一つの作品はたいへん上手い。下手ウマ調の作品すら上手い。私の特に好きな作品は、戦争画シリーズの「紐育空爆之図」で、見事な出来映えである。ゼロ戦がニューヨークのスカイクレーパーを空爆している作品で、絵を見る体験として充足感が味わえる。「大山椒魚」、「滝の絵」、「灰色の山」など、その他の作品においても会田誠の描くことへの強いオブセッションを感じることができた。ミシン台の上の驚きはないが、非常に真面目でよく考えている。そういった意味でリアリティーのある作品群だと思った。
インスタレーションについては会場が全体的に薄暗かったのが気になった。もう少し光を頂戴。また小さな美術館なのでやむを得ないが、作品が多彩なうえ、詰め込まれ過ぎたのか、猥雑な印象となった。しかしながら本当に「天才でごくろうさん」だったのだ。
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会田誠 おにぎり仮面「考えない人」
posted by ミツオ at 18:21| Comment(0) | アート