2012年08月07日

福島の高校生による演劇を観て

 7月31日(火)、福島県立あさか開成高校(郡山市)演劇部の「この青空は、ほんとの空ってことでいいですか?」の横浜公演(かなっくホール)を見てきた。高校生演劇ということもあり集客がちょっと心配だったが、ほぼ満席。よかった。

 この演劇が作られる発端となったのは、2011年福島で行われる福島総文祭で上映予定だった「ほんとの空」という構成劇が東日本大震災、福島第一原発事故の影響で上演できなくなったことからだった。

 3.11以降、智恵子が呼んだ「ほんとの空」を感じることができなくなった現実を前に、演劇を通して生徒たちは自分たちの苦悩や生の声を紡ぎだす即興劇を繰り返した。それらを一つの作品に昇華させたものが
「この青空は、ほんとの空ってことでいいですか?」という題名の作品に結実したのである。

シンプルな箱型の舞台セット。ピーピーと線量計の鳴る音や放射能の影響で締め切られたガラス窓を開ける音が、生徒たちが置かれている状況の異常さを照らし出します。故郷を去る者、残るもの。避難する側、受け入れる側。さまざまな立場や感情が錯綜する中、生徒たちが自分の言葉を発する過程そのものがこの作品の血肉となり結晶化されて行くのだ。そして彼らの声が観るものの心に突き刺さる。

 生徒たちにとっては自分たちの演劇が評価され、発表する機会を得られたことは嬉しいことであると同時に、つらい思いを追体験するのはしんどい作業であろう。しかし彼らの物語を伝えたいという気持ちから発せられる彼らの言葉は、観客の心に直接響いてくるものだった。

 彼ら(若者)の声に我々はしっかりと耳を傾けなければならないと思う。そしてまだまだ成長するのであろうこの演劇が、一人でも多くの人々に見られることを願って止まない。
タグ:演劇 芸術
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2012年04月08日

平成中村座の公演を観て

桜が開き始めた浅草の隅田川河畔(仮設小屋)で平成中村座の公演を観てきました。出し物は「法界坊」、徹底的にエンターテイメント性が追求された作品で、理屈抜きの面白さ、土胆を抜かれる派手派手さで楽しめる作品です。怨霊狂乱の桜吹雪の大団円では舞台の背景が取り除かれ、本物のスカイツリーを眺める現実の満開の桜が借景として組み込まれています。観客からも「うぉ〜!」という感嘆の声が。江戸文化はやっぱりすごいなぁと再認識です。伝統文化どうのこうのというよりは江戸庶民のパワーを感じる舞台でした。隅田川河畔という場所も「河原乞食」の芸能の源にふさわしい場所です。そういえばこの辺り、ちょっと前まではホームレスのブルーシートハウスがいっぱいあったっけ。彼らにこそ観てほしい演目でした。お大尽席に招待すべきです。本物の転倒した世界が現れる。中村屋の大ホームランなのに!

 とはいえ、江戸文化の大らかさを十二分に楽しませてもらいました。日本近代の「くそまじめ教」を一瞬のうちに吹っ飛ばし、スカッとした気分にさせてくれました。江戸文化の許容力、大らかさに比べると今日の日本文化はサラリーマン化一直線。劣化しています。経済危機が声高に叫ばれるけれども、本当の危機は文化危機のほうだと言いたいです!

平成中村座.jpg
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