2013年04月20日

熱々!東南アジアの現代美術 Welcome to the Jungle

横浜美術館 http://www.yaf.or.jp/yma/exhibition_web2/001/
6月16日(日)まで

 この展覧会はシンガポール美術館と横浜美術館の連携の下、シンガポール美術館のコレクションによる企画展である。そのため2011年のシンガポール・ビエンナーレを訪れたときに見た作品も多く含まれていた。
 アジアの現代美術の紹介・収集する美術館としては福岡市のアジア現代美術館が有名だが、横浜美術館も89年に第3回アジア美術展の巡回会場の一つとなっていた。90年代は先進国でのマルチカルチャリズムの隆盛もあって現代美術に関わる主体の多様性が一気に拡大した時期であるが、日本では「他者」に対する感受性の不足から限られた言説に留まる結果になったようである。今回の展覧会でも”東南アジア”を強調することで逆に囲い込み(指定席化)が働いているような部分もあり、Welcome to the Jungle(ジャングルにようこそ)というワイルドな英語題の割には、写真、ビデオといった平面作品が多いためか、あっさりとした印象の展覧会だった。
 しかしながら歴史、民族性、アイデンティティーなどといった具体的な対象を現代美術のヴォキャブラリーを使って作品化するアプローチは、個々の参加アーティストたちの出身の枠を超えて共有されており、同様にコンテンポラリーアートの真髄でもある社会批評のクオリティーを兼ね備えていると言えるだろう。
 シンガポールの作家ザイ・クーニンによるリアウ諸島の海民の映像や、フィリピンの元大統領夫人イメルダのイメージを使ったスティーブ・ティロナの作品、そしてマレーシアの歴史的場面に作家自身の姿をはめ込んだアフマド・ファド・オスマンの合成写真など興味深い作品が揃っている。
 東南アジアを含めた近隣諸国との文化交流、相互理解のチャンネルを深める試みは、政治や経済の思惑を超えて、一般市民の実感として広がっていく必要があるだろう。
posted by ミツオ at 18:49| Comment(0) | 日記