2012年04月08日

平成中村座の公演を観て

桜が開き始めた浅草の隅田川河畔(仮設小屋)で平成中村座の公演を観てきました。出し物は「法界坊」、徹底的にエンターテイメント性が追求された作品で、理屈抜きの面白さ、土胆を抜かれる派手派手さで楽しめる作品です。怨霊狂乱の桜吹雪の大団円では舞台の背景が取り除かれ、本物のスカイツリーを眺める現実の満開の桜が借景として組み込まれています。観客からも「うぉ〜!」という感嘆の声が。江戸文化はやっぱりすごいなぁと再認識です。伝統文化どうのこうのというよりは江戸庶民のパワーを感じる舞台でした。隅田川河畔という場所も「河原乞食」の芸能の源にふさわしい場所です。そういえばこの辺り、ちょっと前まではホームレスのブルーシートハウスがいっぱいあったっけ。彼らにこそ観てほしい演目でした。お大尽席に招待すべきです。本物の転倒した世界が現れる。中村屋の大ホームランなのに!

 とはいえ、江戸文化の大らかさを十二分に楽しませてもらいました。日本近代の「くそまじめ教」を一瞬のうちに吹っ飛ばし、スカッとした気分にさせてくれました。江戸文化の許容力、大らかさに比べると今日の日本文化はサラリーマン化一直線。劣化しています。経済危機が声高に叫ばれるけれども、本当の危機は文化危機のほうだと言いたいです!

平成中村座.jpg
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2012年04月04日

メトロポリタン美術館に行ったら

ニューヨークのメトロポリタン美術館に行ったら、アメリカン・ウィングにあるフレドリック・エドウィン・チャーチの大作"Heart of the Andes"を見ることを薦める。フレデリック・チャーチはハドソン・リバー・スクールというアメリカ最初の風景画家グループに属した画家の一人で、このグループはニューヨーク州ハドソン川沿いの風景やキャッツキル山脈を「エデンの園」、理想化した未開の風景として描いた。その中でも、最も商業的に成功したのがフレドリック・チャーチで、当時彼の作品は見世物小屋的環境で木戸銭を取って見せていたそうだ。ハドソン・リバー・スクールの頂点はフレデリック・チャーチの"Niagara"とアルバート・ビァスタットの"Rocky Mountain" が1867年のパリ万博でそれぞれ賞を獲得した時で、それによりアメリカの画家がヨーロッパの画家と名実ともに肩を並べたのだった。しかし、ハドソン・リバー・スクールの評価は長続きせず、終焉は性急に訪れた。1876年にフィアデルフィアで開催された独立100年の博覧会では、すでにフランスの革新的なバルビゾン派の影響を強く受けた若い画家たちの作品が注目されるようになっていた。その後ハドソン・リバー・スクールの画家たちの作品は歴史の暗闇に忘れ去られていく。再評価を受けるにはポロックが登場し、アメリカンアートの覇権が形成される、1940年代まで待たねばならなかった。現在私たちがハドソン・リバー・スクールの画家たちの作品を知る機会を用意したのは、1987年にメトロポリタン美術館が行った"American Paradise" という回顧展でのことである。
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