2011年05月20日

マーライオン:多様性のシンボル

 ここのところなるべく多くの展覧会や映画(単館)に足を運ぶようにしています。先週末閉幕したシンガポール・ビエンナーレをすれすれセーフで見て来ました。シンガポールを訪ねるのは今回初めてで、街の活気に圧倒されました。マレー半島の南端に位置するシンガポール共和国は面積も人口も横浜より一回りばかり大きい都市国家です。「オープンハウス」と題された今回のビエンナーレはアジアのハブ(中継)都市を目指すシンガポールらしい「開かれた空間」がテーマの現代アート国際展(世界30カ国63人アーティストが参加)でした。


 なかなか面白い作品が多かったのですが、シンガポールの象徴であり、観光名所にもなっているマーライオンをそのまま使ってホテルにしてしまった作品を紹介します。
マーライオンホテル.jpg

日本のアーティスト西野達郎氏の作品で、実際のマーライオン像を取り込む形で、マリーナにある最も公共的なシンガポールのシンボルであるマーライオン像をホテルの一室という準プライベートな空間に閉じ込めてしまった作品です。新自由主義的なプライヴァタイゼーションへの批評なのか?いろいろな読み方が可能でしょうが、国の象徴ともいえるマーライオンをこのような形で現代アートの表現のために使わせてくれるのだからアーティストにしてみればやり甲斐があるでしょう。


 マーライオンはマーメード(人魚)とライオンの想像の混成動物。私の好きなキメラや鵺のように多様性の象徴です。マーライオンは多民族国家シンガポールに相応しいシンボル像なのです。都市間競争の時代に入り、都市セールスのツールとして多くの都市が現代アートを使って国際的な知名度アップを図っています。現代アートがプロモーションツールとしてだけ利用されるという状況については単純に喜んでいいのか大いに疑問ですが、しかしアートがその本質において多様性を肯定するものであるなら、多様性をきらい一元的なものを好む日本人の精神構造を変えていくのもアートの力なのかも?

タグ:アート
posted by ミツオ at 00:00| Comment(0) | アート